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首長候補者の思想はかくして明らかとなった

 愛知県知事選挙、名古屋市長選挙、市議会解散の是非を問う住民投票の投票日が一週間後に迫るなか、これらの判断に有力な示唆をもたらすであろうサイトを見つけた。「愛知統一地方選挙・候補者紹介サイト」だ。同サイトは知事選、市長選の立候補者に対して、アンケートを実施している。その趣旨が何とも興味深い。

 平成23年2月14日任期満了による愛知県知事選挙、出直し市長選挙が2月6日に行われます。

 「減税」を争点として、それ以外の住民サービスなど各候補者の『地域への熱い思い』は報道等で知ることが出来、立候補者の皆様の熱き思いを受け取り大いに愛知、及び名古屋の今後の発展を期待するばかりです。

 しかし昨今、政権交代の起爆となった生活が第一という言葉とは裏腹に、尖閣問題や沖縄基地問題などを切っ掛けに国としてあるべき姿に関心が集まり、国民の多くが自分の生活のみでなく国家として日本を考えるようになりました。地域のみならず、国家としてのビジョンを求める声の高鳴りは無視出来ぬ状態です。

 為政者として、地域に目を奪われすぎて、最も大事な国家観が蔑ろにされることは本末転倒です。揺るぎのない国家観を持ってこそ、特定的かつ偏った利益享受、既得権益に左右されない真の住民への平等益、そして地域の繁栄を築く事が出来ると考えます。

 それらを踏まえ、愛知県そして名古屋市に関わる事例(1~3)、そして国家として問題視されている法案(4~6)について、県民、市民の投票の情報材料としてアンケートにお答え下さいますことを要望します。


 そして、アンケートの抄本がこちらだ。

 問1.名古屋中国領事館移設問題

 あなたは県民・市民の命を預かる立場として、「名古屋中国領事館移設問題」
についてどの様な対処をされますか?

 ①国有地払い下げの権限は国にあるのだから、判断に従う。

 ②売却後想定される事に関して懸念は在るため、反対表明はするが特に働きかけはしない。判断に従う。

 ③県民・市民の治安、今後の警備費の負担増加に依る住民サービスへの低下、そして国防と言う国家観も踏まえ、国への働きかけと共に断固反対を貫く。

 ④その他(その他の内容をお書き下さい)

 問2.外国人留学生アクティビティ特区

 あなたは県民・市民の命を預かる立場として、雇用の益々の悪化、治安の悪化など数々の問題を抱える「外国人留学生アクティビティ特区提案」ですが、どの様にお考えでしょうか?

 ①本県の経済発展に期待が出来ると思うので、提案を進めるべき

 ②本県の経済発展に期待が出来るとは思えない、また出来たとしても数々の問題点を抱えている以上、県民にリスクを背負わせるべきではない、提案は破棄すべき

 ③その他(その他の内容をお書き下さい)

 問3.住民投票条例

 あなたは県民・市民の命を預かる立場として、「外国人地方参政権」は最高裁判決で違憲とされますが「住民投票条例」をどの様にお考えでしょうか?

 ①「住民投票条例」には国籍条項等を設ける必要がない

 ②「住民投票条例」は地方選挙の参政権同様、法律にて「住民基本台帳に登録された日本国民」に限定するべき

 ③その他 (その他の内容をお書き下さい)

 片山善博総務相は、来年の通常国会に提出する予定の地方自治法改正案に、地方自治体の重要課題の是非などを住民に問う住民投票制度の導入を盛り込む意向を明らかにしました。しかし、自治体の首長や議会関係者らの間では慎重な検討を求める意見が多く、早期の導入には反発も予想されています。「住民投票制度」が導入された場合、現行の「常設型住民投票条例」の制度化であり、投票資格と共に、政治意志決定を住民に委託するポピュリズム(大衆迎合)化による地域の混乱が危惧されます。

 あなたは県民・市民の命を預かる立場として、「住民投票制度」をどの様にお考えでしょうか?

 ①賛成

 ②反対

 ③その他(その他の内容をお書き下さい)

 問4.永住外国人に対する地方参政権付与の法制化

 あなたは県民・市民の命を預かる立場として、「外国人地方参政権」をどの様にお考えでしょうか?

 ①賛成

 ②反対

 ③その他(その他の内容をお書き下さい)

 問5.選択的夫婦別氏制度を含む民法改正

 あなたは県民・市民の命を預かる立場として、「選択的夫婦別氏制度を含む民法改正」をどの様にお考えでしょうか?

 ①賛成

 ②反対

 ③その他(その他の内容をお書き下さい)

 問6.人権擁護法案(人権侵害救済法案)

 あなたは県民・市民の命を預かる立場として、「人権擁護法案(人権侵害救済法案)」をどの様にお考えでしょうか?

 ①賛成

 ②反対

 ③その他(その他の内容をお書き下さい)


 私は質問から透けて見える危惧を共有している。よって、「その他」を使う必要がなく、(1)③(2)②(3-1)②(3-2)②(4)②(5)②(6)②となった。そして、アンケートの趣旨や主催者の主張に同意するからして、これがおそらく正答となるのだろう。

 さて、アンケートに回答した候補者は、薬師寺道代氏、重徳和彦氏、御園慎一郎氏、石田芳弘氏。

 薬師寺氏(1)①(2)①(3-1)②(3-2)①(4)②(5)③(6)①

 重徳氏 (1)④(2)①(3-1)③(3-2)②(4)②(5)②(6)③

 御園氏 (1)④(2)③(3-1)③(3-2)①(4)③(5)③(6)③

 石田氏 (1)④(2)③(3-1)③(3-2)③(4)③(5)③(6)‐


 アンケートの冒頭、「為政者として、地域に目を奪われすぎて、最も大事な国家観が蔑ろにされることは本末転倒です。揺るぎのない国家観を持ってこそ、特定的かつ偏った利益享受、既得権益に左右されない真の住民への平等益、そして地域の繁栄を築く事が出来る」としているにもかかわらず、御園、石田両氏は「国政課題である」ことを理由に、人権侵害救済法案(人権擁護法案)に関する回答を拒否。だが、法案によると、人権侵害救済機関は地方にも設置される予定である。

 ご覧いただいたとおり、アンテナを張っておけば、わずか数分で回答可能な設問に、大村秀章前衆院議員事務所は「十分なスタッフを揃えているわけでもなく、限られた時間のなか、広い愛知を回り、ご挨拶をさせて頂いております。その結果としまして、ご期待に沿う有意義なご連絡をすることができない状況となっているのが私どもの実情」であるため、回答しないという。理由はもちろん、これら問題法案すべてに賛成だからだ。

 選挙期間中であり、これ以上、筆致を費やすのは差し控えるが、腹はまったく決まった。薬師寺氏の人権侵害救済法案賛成――首長候補者の思想はかくして明らかとなった。愛知統一地方選挙・候補者紹介サイトに賛辞と敬意を送る。
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集団的自衛権の行使容認への答申は整っている

 自民党は昨年末、政権復帰後に集団的自衛権の行使を可能とすることを前提に、日米安全保障条約の在日米軍駐留義務を削除するようアメリカ側に求めていく方針を示した。

 安倍晋三首相(当時)は2007(平成19)年、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈を討議する有識者懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を立ち上げ、個別・具体的な4類型について研究させた。4類型とは、(1)公海における米艦の防護(2)米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃(3)国際的な平和活動における武器使用(4)同じ国連PKO等に参加している他国の活動に対する後方支援である。

 同懇談会が翌年6月にまとめた報告書では、(1)、(2)については、集団的自衛権の行使を認めるよう、(3)、(4)についても、憲法が禁じる「武力の行使」や他国軍による「武力の行使と一体化」することには当たらないとして、憲法解釈を改めるよう提言した。

 国際連合憲章51条では、国家が「個別的又は集団的自衛の固有の権利」を有すること、日米安保条約の前文では、「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し」ている。にもかかわらず、歴代政権は「我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、(中略)集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」(1981年5月29日提出「衆議院議員稲葉誠一君提出『憲法、国際法と集団的自衛権』に関する質問に対する答弁書」より)との不気味な解釈をとってきた。

 しかしながら、憲法9条には、集団的自衛権の行使を禁じると解するべきコンテクストが存在しない。個別的自衛権はよくて、集団的自衛権はダメとの線引き自体が不可能なのだ。また、同条で「放棄」しているのは、「国際紛争を解決する手段として」の「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使」であって、(3)国際的な平和活動や(4)国連PKO等の 国際貢献は、そこにいう「国際紛争」に含まれない。同懇談会が示した報告書は妥当といえよう。

 これは首相の諮問に対する答申と見て差し支えない。跡を継いだ福田康夫元首相が安全保障に暗かったため、闇に葬られてしまったが、残すは政治の決断のみである。自民党が政権に復帰したら即、解釈の変更に踏み切っていただきたい。

石田氏は何をしたい

 名古屋市長選挙に立候補する民主党の石田芳弘前衆院議員が20日、自身のホームページ上に、マニフェストを発表した。骨子は福祉、医療、教育への予算の重点配分や愛知県知事選に立候補している大村秀章前衆院議員が提案する「中京都構想」への反対だが、やはり気になるのは教育政策である。

 石田氏のマニフェスト「名古屋市を着実に前進させる5つの基本政策」には、「教育委員会から校長へ権限と予算を委譲」とある。校長に権限を移すというのだから、一見よさそうにも思えるのだが、もし軟弱で政治的中立性を欠く校長だったとしたらどうだろう。現場に混乱を来たすのは必至である。要するに、これでは校長でなく、日本教職員組合(日教組)による自虐史観に基いた教育や行き過ぎたジェンダーフリー教育を行いたい教員の権限を強めることになりかねない。日教組は文部科学省や教育委員会のルールに従いたくないからこそ学校単位の運営を目指すのである。

 そして、何よりの問題はこれだ。2007(平成19)年4月24日、全国の小学6年生と中学3年生を対象にした「学力・学習状況調査(全国学力テスト)」が実施された。1964(昭和39)年以来43年ぶりのことである。そんななか、公立学校で唯一不参加となったのは、石田氏が市長を務めた犬山市立の14校。この理由について、犬山市教育委員会は「序列化や過度な競争を起こす危険性がある」、のちに石田氏も「競争と教育の因果関係。私は競争を持ち込まない考え方」(2009年1月13日石田芳弘ブログ「1月12日」)であることを明かしている。どこかで聞いたセリフだ。

 全国学力テストは1956(昭和31)年、小中高校生を対象に抽出方式で始まり、1961(昭和36)年からはすべての中学2、3年生が対象となった。ところが、日本教職員組合(日教組)が「国家権力の教育介入に当たる」「過度な競争を招く」ことを理由に反対運動を展開。一部では、テストをボイコットするなど過激な抵抗もあり、教育現場が混乱に見舞われたため、1964年に廃止された。

 つまり、石田氏率いる犬山市は、日教組と同じ理由で不参加を表明したのである。石田市政は少人数学級や手作り教材を導入するなど独自の教育改革を進めていたため、地元の評価はそれなりに高かったという。しかし、学力テストへの不参加を表明すると賛否は分かれた。地域差を把握したい親からの反発がそのほとんどだったが、競争を排除すれば、生徒は堕落に陥りかねない。少人数学級はきめの細かさを求めてのことではなく、単なる競争の阻害だったのか。その後、愛知県知事選挙に立候補するため、石田氏は辞職。新しく就任した田中志典市長が2回目以降は参加に転じることを決定したため、犬山市の教育は正常化されたが、疑問の残る「騒動」だった。

 また、教科書採択の問題もある。横浜市は昨年、市内18区のうち10区で「新しい歴史教科書を作る会(作る会)」が編纂した「新しい歴史教科書」(自由社)を採択した。中田宏前市長の後押しで就任した今田忠彦委員長ら市教委の功績だ。2005(平成17)年と2009(平成21)年には、山田宏区長の杉並区でも作る会の歴史教科書が採択されている。つまり、幸か不幸か、首長の意向が反映されやすいのだ。だが、せっかく採択されても、教員の意向にそぐわぬものだと、教科書を使わず、手製の副教材やプリントを用いて授業を進める教師が後を絶たないという。横浜市教職員組合(浜教組)が8割なら、愛知県教員組合(愛教組)は6割の組織率を誇る。この名古屋で石田氏が市長になったら、名古屋の教育正常化は遠のくばかりである。

 2006(平成18)年、犬山市長を途中辞職。2007年、愛知県知事選への出馬と落選。2009年、衆院選に当選するも2010(平成22)年、愛知県知事選に名乗りを上げる。知事選の候補者選考に敗れると、今度は2011(平成23)年の名古屋市長選へ――迷走する民主党にあって出世をあきらめたのか。石田氏が何をしたいかわからない。

数多の矛盾含む改造内閣

 菅改造内閣の官房長官に就く枝野幸男氏は14日午後、内閣の閣僚名簿を発表した。与謝野馨氏を経済財政担当相に起用し、海江田万里経財相は経済産業相、大畠章宏経産相は国土交通相にそれぞれ横滑りする。法相に江田五月前参院議長、国家公安・公務員改革担当相に中野寛成元衆院副議長を充てるほか、官房副長官に藤井裕久元財務相が就く。

 野田佳彦財務相、自見庄三郎金融担当相、前原誠司外務相は留任。片山善博総務相、民主党政調会長を兼ねる玄葉光一郎国家戦略相、蓮舫行政刷新相も閣内にとどまる。(14日付日本経済新聞「枝野氏が閣僚名簿発表 経財相に与謝野氏、海江田氏は経産相」より)


 菅直人首相は14日、菅第二次改造内閣を発足させた。表向きは税や社会保障の改革、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の参加に向けた布陣を整えたとされているが、それにしては多くの矛盾を含んでいる。

 今回の改造の目玉人事は、たちあがれ日本を離党した与謝野馨経済財政担当相とみられているが、麻生太郎政権では財務・金融・経済財政担当相、景気が回復しつつあった第三次小泉純一郎政権でも金融・経済財政担当相を担当するなど重要ポストを歴任してきた人物である。その際の不作為を棚に上げて、いまいったい何をやろう、何ができるというのか。民主党政権は国家戦略局がそれに代わるとして、自民党政権時代の経済財政諮問会議を廃止し、長らく経済財政相の任を形骸化させてきた。今回、その経済財政相にどのような権限が与えられるか不明なうえ、後期高齢者医療制度の廃止や消費税増税反対派を抱える民主党との調整が難航するのは必至だ。

 一方、経済財政相から追いやられた海江田万里経済産業相は、大畠章宏前経済産業相を国土交通相へと追いやった。一見すると、TPP参加に慎重な大畠氏から積極的な海江田氏へとシフトしたともみえるが、TPP参加に向けたもうひとつの障壁・鹿野道彦農水相は留任している。いうまでもなく、TPPに参加するには農業や農村の疲弊を改善せねばならない。具体的には、優遇税制を設けるなど政府が大規模化を促進し、国際競争力を付けさせる政策を立案することだ。しかも、これは農業従事者人口が自然に減り続けているいま、リストラなしに進められる有効な施策である。ところが、民主党は農家の戸別所得補償制度を推し進めている。農業を小規模化し、優良従事者のやる気を削ぐこの政策は、保護主義型農政の悪しき象徴だ。これを撤回する気概とTPP(関税撤廃に関して)に参加する意欲なくして、農水相は務まらない。

 そのほか、新たに法相に就任した江田五月前参院議長は、「死刑制度を廃止する議員連盟」の会長代行を務める死刑廃止論者として知られている。14日の就任会見では「死刑という刑罰はいろんな欠陥を抱えた刑罰だと思う」「もともと人間はいつかは命を失う存在だ。そう急ぐことはないじゃないかという気はする」と述べるなど法相の責任を果たす気はさらさらないようだ。この折、菅氏がわざわざ火種を持ち込むとは考えづらいため、死刑の意義を根本から問わんとしているとしか思われない。

 官房副長官に任命された藤井裕久元財務相は昨年1月、体調不良を理由に辞任。実のところは、ガソリン税など自動車関係諸税の上乗せ税率(暫定税率)撤廃をめぐって、鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長(いずれも当時)との折衝に難儀した果ての出来事だった。ところが、予算編成を担当した大臣が審議の直前に辞任したことにマスコミは黙ったまま。今回、わずか1年で中枢に戻してしまった。藤井氏は78歳の高齢。生きておられるだけでも、ありがたいといえる。元気な老人には引き続き働いてもらいたいが、病を抱える老人に国家を任すことはできない。

 今回の内閣改造は、菅氏が「最強の体制を作るため」と位置づけたのとは裏腹に、数多の矛盾含む改造となった。国家観に乏しい内閣であることはいまさら指摘するまでもないが、税や社会保障改革、TPP参加についてもこのざまだ。自民党をはじめとする野党は、子ども手当や高速道路の無料化、農家の戸別所得補償制度といったバラマキ政策の撤回を求めて、予算関連法案の成立を阻止し、4月解散に持ち込め。

英語必修化への準備は万端か

 今春から実施される新しい学習指導要領によって、小学校高学年の「外国語活動(英語)」が必修となる。週1時間、年間35時間の授業が割り当てられるが、正式な教科でないため、評価の対象にはならない。

 すでに多くの小学校では、「総合的な学習の時間(総合学習)」などの時間を利用して、授業に英語を取り入れている。英語を母国語とする外国語指導助手(ALT)が派遣されるケースもあるが、大半は学級担任が指導に当たるという。にもかかわらず、英語の教員免許を所持する小学校教諭はわずか3%程度だ。大学のリベラル・アーツ(一般教養)程度の英語力では心もとないうえ、向上の好機である受験勉強を経ずに進学する場合さえありうる。正式な教科でないとはいっても、無免許の教師が教えるべきではないだろう。

 また、生徒の興味を惹くことに主眼を置くあまり、クイズや音楽を用いたゲーム性の高い授業が展開されている。生徒の関心を高めることが切要なのはいうまでもないが、この手の授業は一時的に注目を集めるにすぎず、よくて思い出、悪ければブレイク・タイムに止まる。ゲームを企画するのに苦心している教師も多いといわれ、このままでは従来の担当教科の準備に当てる時間を割かれかねない状況だ。

 こうした教える側の問題もさることながら、そもそも小学校から英語教育を行う必要があるのだろうか。当然のことながら、日本の小・中学校で行われる授業には、日本語が用いられる。一見、記号の羅列に見える数学といえども、日本語による説明なしには成り立たない。それゆえ、稚拙な国語力では国語はもとより、その他教科も理解不能に陥る危険性が潜む。まして自主・反復を要求される語学となれば、解説文を独りで読みこなせる力が要求されるのは必然である。

 われわれが学ぶ英語とは、人が最初に覚える純然たる母国語と異なり、母国語を介した外国語にすぎない。母国語と外国語が絶えずキャッチボールを続けることになるのだ。たとえば、“I love you.”という英語の主語と目的語の関係が恋人同士であったなら、そのまま「愛している」でよいが、牧師と教徒の間であれば、「慈しむ」が最適であるのはご承知のとおり(もっとも、「愛している」が氾濫してしまった昨今、原義はすっかり失われてしまった)。もしこうした日本語がすぐに浮かばないとすれば、それは英語力の欠如ではなく、母国語力の壊滅と捉えるべきだろう。

 近ごろは「国際人になるため」幼児教育においても、英語教育が取り入れられているという。たしかに、幼ければ幼いほど外国語が母国語に接近するため、英語を話せるようにはなるだろう。しかし、彼らが話すのは日本語と英語が混在した、悪い言い方をすれば、帰国子女にありがちな空虚な言語だ。脆弱な母国語が繰り出すうつろな外国語は、真の国際人が最も忌むところである。たとえ時間があっても、小学校では母国語以外の言語に費やすべきではない。

 言語は思考する上でも大きな役割を担う。思考は言語を駆使して初めて叶うのだ。混迷を極めるこのご時世、生きる力、精神力を高めるためにも、母国語をこそ強化すべきでないか。
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プロフィール

オーデーベース

Author:オーデーベース
 顔と名前をお見せするその日のために、鄙見を認(したた)めてまいります。市政か、県政か、あるいは国政かわかりませんが、愛する日本と故郷のために勇往邁進することをお誓い申し上げます。

 人ひとりにできることは限られております。あるいは遺産も功績も何ら残せずに終えてしまうかもしれません。ただ、あのころの先人はよくやったと後世に云われたとき、その十把一絡げにされた先人のひとりにでもなれたのなら、それは大変喜ばしいことであります。子孫に少しばかりはわれわれを顧みてもらいたいなどというおこがましい希望はだれにでも起こりうるのではないでしょうか。それは、おおいに欲深い願望なのかもしれません。しかし、先祖を回顧していないわれわれだけが回顧されようなどという考えそれこそがおこがましいものであるにちがいありません。

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